エリク・ド・グロリエ『書物の歴史』大塚幸男訳、白水社(文庫クセジュ)、1992

書物の歴史 (文庫クセジュ)

書物の歴史 (文庫クセジュ)

古代から現代までの書物の歴史をコンパクトにまとめる。抽象的に主題を論じるのではなく、書物、著者、挿絵画家、出版者、都市等の固有名詞の中で書物の歴史が展開される。中世から近世にかけての書物を扱う第二章と第三章は古書の販売に大いに役立つだろう。「近代の最初の愛書提要」「奥付のある最初の活版印刷書」「挿絵入り刊本の最初の刊行者」のような書物史上最初の出来事への目配りも行き届いている。訳文も読みやすい。索引がないのが唯一の欠点。書物に携わるすべての人にお薦めしたい。